アーキオス株式会社(東京都港区。以下アーキオスと略)は、外国人駐在員向けに賃貸住宅コンサルティングを専門に行なうとともに多くの住宅情報を提供している。アーキオスでは、複雑ではないシンプルな情報をわかりやすく提供することがビジネスの成功につながっている。この事例では、4Dの機能自体だけではなく、むしろ4Dならではのデータベースの運用方法について、効率的な利用方法を取り上げる。そこで、4Dが単純なデータベースソフトウェアとしてではなく、FTPクライアント、メールクライアントとしても機能することで多機能なソリューションになるとともに、複雑になりがちなWebシステムをシンプルに構築するひとつの方法をご覧いただきたい。
データベースとWebシステムの連携を考える場合、多くの場合、ユーザの要求によって情報が更新されるダイナミックなページの処理を考える場合が多いだろう。もちろん、ダイナミックページはよりインタラクティブになる反面、ダイナミックなページはスタティックなページよりも処理が複雑になるために開発行程が多くなる。これに対してスタティックなページは、シンプルに情報を表示することができる。処理内容によっては、スタティックなページを利用したほうが好ましい場合がいくつかあるだろう。例えばサーバへの負担軽減のほかにも、SEO(検索エンジン対策)を行なう場合に効果のある方法があげられる。アーキオス株式会社では、約9000件の物件情報をWeb上に公開しているが、同社はスタティックなページを利用している。理由は上記のSEO(検索エンジン対策)とともに、情報のその性質上、リアルタイムにアップデートされる必要はなく定期的な更新で十分であるからである。ブラウザに顧客がアクセスした場合に、シンプルな検索条件によって一覧が表示される、そして、いくつかの条件によって並べ替えが可能である。これだけで十分、いや、むしろそのほうがカスタマーにとってはシンプルで使い勝手がよいのである。不必要な機能ははじめから実装することを考えていないのである。
4Dのビルトイン機能であるWeb公開機能を利用することで、データベース内のデータを直接Web上に公開することは可能であるが、アーキオスでは、データベースから情報を一度出力した後にスタティックなページとして公開している。そのことにより、既存の安価なホスティングサービスを利用することができる。アーキオスのWebサイトでは、実は4Dから直接出力された複数のhtmlデータを、4DのFTPコマンド(Internet Commands)を利用してアップロードしているだけである。各種チャートに関しては、Apple社Keynote用のXMLファイルを4Dから直接書き出している。また、チャートを作成するためのデータ集計では、クイックレポートのクロスタブ機能を活用して、結果をXMLに渡している。また、このhtmlファイルをFTPにアップロードするために4D以外のアプリケーションを利用する必要はない。4Dには多くのFTP関連コマンド(Internet Commands)が用意されているのでこれらを利用して、物件の画像とともに、直接ホスティング先にアップロードしている。他のアプリケーションひとつでここまで処理が可能であろうか。ダイナミックページ、スタティックページの利用に関係なく、ひとつのアプリケーションだけでここまでのデータベースからのデータ書き出しとhtmlファイルの生成、FTPアップロードに至るまでの処理が可能であることは4Dの利点と言えよう。
このWebページのバックグラウンドで行なわれるさまざまな業務も4Dデータベースと直結して処理が行なわれている。
カスタマーからの問い合わせに対しては、利用される必要なデータベースの情報をhtmlファイルとして書き出し、FTPでサーバにアップロードすることで対応している。カスタマーにはこのページのリンク先を記載したメールを送るだけで、詳細な情報を提供することができる。また、4Dにはメール関連コマンド(Internet Commands)が複数用意されているので、特定のメール専用アプリケーションを利用することなく、4Dアプリケーション自体をメールクライアントとして利用することも可能である。
特定のカスタマーに特定の情報を送る場合の処理をどのように行なっているであろうか。状況によっては同じデータの再利用が必要な場合が考えられるが、たとえば推奨できる情報をカスタマーのニーズに応じて履歴として再利用のために保存することができる。これは4Dのデータ処理を行なう場合にセット(ディスクに保存可能なレコードセレクション)をつくることで、特定顧客のための特定の情報を簡単に再利用することができる。毎回の問い合わせに応じてその都度Web上から情報を選択して処理をすることなどはまったく不要である。
まさにデータベースと直結したサービスの提供に成功しているといえる。
不動産業の営業はカスタマーのもとにアポイントが取れるとともに直行することが少なくはない。そのような場合に、一度オフィスに立ち寄る時間を使うことなく、営業の準備やレポーティングなどの処理が必要になることがある。アーキオスは、4D Serverを遠隔地から操作して、データベースを利用している。つまり、オフィスに設置された4D Serverに対して社員の自宅から4D Clientを接続することで業務の効率化に役立っている。回線にはブロードバンドを利用しているが通信によるストレスはほとんど感じないという。
アーキオスがインターネット経由に4D Server/4D Client通信を試みたのは最近のことではない。かつてADSLが世間に普及し始めた頃に、オフィスに設置された4DServerと社員の自宅の4D Clientを接続した処理を業務に導入することを試みている。当時は、回線速度が現在よりもはるかに遅く、当然処理速度にも問題がないわけではなかった。しかしながら、現実的に利用できないというわけではなく、むしろ、社員が自宅にいながらオフィスのサーバにアクセスできることでの利点を見い出し、業務の効率化に結び付けている。回線の速度処理が遅いから利用することを考えないのではなく回線の速度が遅い場合に利用できる処理を考えることに、成功のヒントがあるのだろう。
このシステムの構築を行なった有限会社カンノ・カンパニー(東京都三鷹市)の菅野和彦氏は次のように語る。「クライアント/サーバ接続に暗号化が利用できますので、このような遠隔地の4DClientからの4D Serverの接続に関してもセキュリティを考えた場合の安心材料のひとつとなっています。もちろん、セキュリティ全体についてはVPNなどのネットワーク自体をなども考える必要があるでしょう」
アーキオスでは現在4D 2003を利用しているが、4D 2004導入を視野に入れている。つまり、4D 2004を利用することにより、処理を効率化することができるためである。4D 2004には100以上にも及ぶ新しい機能の追加や改善が行なわれたが、アーキオスにとって魅力になっている機能は、XSL変換である。これまでHTMLファイルを出力した後にスタイルや表示規則を割り当てる処理を行なっていたが、4D 2004の機能(APPLY XSLT TRANSFORMATIONなど)を利用することで、4D 2004から出力されたXMLファイルに対してXSLスタイルシートを適用することができ、XSL言語を使用してXMLファイルのタグをHTMLタグに変更することが容易に可能になる。つまり、ページのテンプレートを適用する処理が簡単になるのである。4Dの機能が進化するとともに、4Dによるシステムもカスタマーの見える部分と見えない部分で進化することが可能なのである。今後このことによってソリューション全体のパフォーマンスをさらに向上させることが期待される。