主にチョコレートを主体とした洋菓子の通信販売などの事業を行なうファースト製菓株式会社(東京都日野市、以下ファースト製菓と略)では、4D製品によるシステムがビジネスを陰で支えている。
ファースト製菓がこれまでの電話などでの通信販売の方法に加えて、通信販売専用ホームページ「ファーストセレブレーション」を開設したのは2003年であった。それまでは、すでに4D製品によるシステムを利用して主に電話による販売を行なっていたが、さらに顧客のニーズに応えたビジネスを展開するために、Webを利用したEコマースサイトを立ち上げた。
当初ファースト製菓は、このWeb通信販売システムにはEコマース構築専用のパッケージ製品を利用していたが、機能的な制限などの問題を感じるとともに、さらにビジネスサイズに見合う製品を検討していた。最終的に4D製品が採用されたのだが、それは新規にまったく知識のない製品をゼロから利用するよりも社内ですでに別のシステムで利用されている4D製品を利用するという安心感だけによるものではなく、4D製品を利用して通信販売用のサーバを立ち上げることのメリットを感じたからである。導入決定当時は4D 2003がリリースされた時期であり、新機能としての強化されたWeb機能に魅力を感じるとともに、使い慣れたアプリケーションを利用することでのメンテナンスに対するストレスの軽減を期待したからである。
ファースト製菓が、4D 2003を利用してWeb通信販売システムを開発した理由は、セキュリティと耐障害性、メンテナンスの容易さである。このWeb通信販売システムの製品構成は、4D Serverと4D Clientという一般的なクライアント/サーバの製品構成に加えて、4D Client WebExtensionを利用している。つまり、4D Serverはデータベースサーバとして利用され、4D ClientはWebサーバとして利用されている。4D Client側では4D Serverから書き出されたHTMLドキュメントを表示用フォーマットに割り当てることで、Web上にデータを公開している仕組みである。このことにより、外部からのアクセスが直接4D Serverに対して行なわれることがなく、データベースのセキュリティと耐障害性を高めている。さらに、メンテナンスに関しても、サーバマシンとは異なる、また離れた場所にある4D Clientから操作を行なうことが可能なことも利点である。
「セキュリティやメンテナンスのことを考えて4D 2003の新機能を利用してみました。4D Serverと4D Client用に少なくとも2台のマシンが必要になりますが、システムの安全性のことを考えると、決して無駄ではなく、むしろそれだけの価値があることを実感しました」(代表取締役社長 巴俊信氏)
4D(シングルユーザ用4th Dimensionまたはマルチユーザ用4D Server)では、かつてからビルトインのWebサーバ(ライセンスは別途購入)を利用したデータのWeb公開を行うことができるが、4D 2003ではビルトインのWebサーバ機能が拡張された。つまり、4D 2003以前では4D Serverから直接データをWeb公開する方法のみであったが、4D 2003では4D ClientをWebサーバとして利用することができる。また、Webを利用したシステム開発を行う場合、別なWebサーバ製品と4D製品を組み合わせることなく、4D製品のみでシステムを構成することができる。当然、システムをトータルで考えた場合に、耐障害対策にはさまざまな方法が考えられるが、4D Client WebExtensionを利用した方法は、最もシンプルで強力な製品構成であるといえよう。
「システムの専門家が社内に常駐しているわけではないので、もしもApacheとPHPと他のデータベースといった複数の製品の組み合わせであったら、それらを管理することはできないでしょう。データベースもWebサーバも4Dだけで構築できることはすごいことだと思います」(巴氏)

ファースト製菓では、Webサイトを利用した販売システムを利用する以前より、電話などによる受注による商品販売を行なっているが、そのためのシステムにも4D Serverと19接続分の4D Clientを利用している。ファースト製菓では1992年に通信販売を開始しているが、当初は他のアプリケーションで開発したシステムを利用していた。しかし、安定性への不満とマルチユーザ環境のクライアント/サーバである必要があったことから、検討を行なった結果、最終的には4D製品が採用された。
システムの特徴は、一般的な受注管理の仕組みの他にも、顧客からの電話を受ける際にかかってきた電話番号データから顧客をすぐさま特定し販売履歴を確認することができる。的確な電話対応を行なうための不可欠な機能である。電話からコンピュータマシンに電話番号データを取り込む仕組みは専用のドライバと電話機が必要であるが、そのデータを単純に4Dに取り込むことで、簡易なCTIとも言える機能を実現している。CTI専用のソフトウェアやハードウェアを利用することなく、従来から使用している4Dのシステムをベースに機能を追加しテレフォンオペレータの作業効率を向上させている。4Dの柔軟な開発環境を活かした利用方法ともいえる。
ファースト製菓のビジネスは現在年商が5億円になるが、成功の秘訣について巴氏は語る。
「通販のノウハウを活かしてきたことは当然ですが、そのほかにもそれを支えてきてくれた4Dのおかげです。4Dは安定して動作しており、トラブルが起こったことを思い起こすのが難しいくらいです」(巴氏)
巴氏が利用している4Dの機能はこれだけではない。巴氏は何らかのデータ集計を行う場合に4Dのビルトインの機能であるクイックレポートを利用している。固定された出力レイアウト(出力フォーム)を利用しただけでは、集計項目や集計方法に変更が生じた場合に柔軟に対応することができない。しかし、クイックレポートの機能を利用することで、柔軟性のある集計やデータの出力が可能である。
クイックレポートとは、出力項目を任意に指定して直接印刷、ファイルへの書き出し、グラフへの出力を行なうためのツールであり、プログラムを利用しての制御も可能である。また、出力のためのウィザードを利用するが可能である。そのため、簡単なデータの出力や集計のために、特別な出力フォームを作成する必要はない。クイックレポート、その名の通り、すばやくデータの出力ができることが特徴である。また、4D 2003からはクロス集計機能(クロスタブ)が追加され、さらに便利になっている。
「データを書き出して今後変更するかもしれないレイアウトで集計を行う場合には、クイックレポートを使うほうが便利です。出力結果のプレビューができるところもいいですね」(巴氏)