株式会社カナジュウ・コーポレーション(以下カナジュウと略)は、家庭用から工業用までの液化石油ガス販売をはじめ、ガス機器を中心とした調理器具、生活用品販売を神奈川県全域および東京都町田市まで事業を展開している。
カナジュウでは、基幹システムを拡張させ、顧客との接点を強化するための独立したサブシステムとして「接点力」を作り出した。この「接点力」は、これまで長年にわたり鍛え上げたノウハウの一部を再構築したシステムであり、他の業界でも共通して利用できるような情報システムである。今回、この「接点力」の商品化に4Dが利用された。
「接点力」は、CRMの機能を主としたシステムだが、そこには、これまで長年にわたり23,000件もの顧客を管理し、地域に密着したサービスを行なうために、築き上げた知恵と知識が生かされている。
ここで4Dが利用された理由は、ユーザのニーズを実現しやすい、つまり開発者のイメージを比較的容易に実現することができる開発効率のよいツールとして評価されたわけだが、今回のように、すでに完成さえたシステムや方法論全体をも容易に吸収することが可能であったことは、4Dの開発環境としての柔軟性の強みだったといえよう。
4Dのユーザモードでは、フォームウィザードを利用したインタフェースで、4Dの標準的なデータベースの基本的な機能を、ノンプログラミングで利用することもできる。個人で利用するようなデータベースでは、このユーザモードで十分に利用できる場合も多いであろうが、ビジネスユースで利用する場合には、やはり、そのビジネスに応じた機能に特化したシステムをより使いやすくすることが求められる。カスタムモードで動作するアプリケーションをつくることで、使いやすさは格段に向上する。
ここで4Dの機能を「うまく」利用することができるかどうかで、完成されたアプリケーションの使い勝手に差がでてくる。そしてエンドユーザの満足度に影響がある部分ともいえる。このことには、4Dが提供しているコマンドをうまく組み合わせたプログラミングや、フォームのデザインの工夫をする開発者の柔軟な発想が必要とされるが、多くのコマンドと開発環境が備わった4Dは、その発想の実現を手助けする開発効率のよいツールである。
顧客の満足のためには、必ずしも最新のテクノロジーを駆使したシステムは必要とは言えない。むしろ、土台となる処理がしっかりと行なわれるアプリケーションとしての機能が最低限あれば、いわゆる「使えない」システムが存在することははありえないはずである。そしてその最低限の機能をエンドユーザがより使いやすい状態で提供できることが、顧客の満足度をさらに高める。
今回紹介する事例では、最新のテクノロジーを駆使したアプリケーションを導入することでの成功事例ではない。4Dの機能を「うまく」利用することでビジネスを成功させている例である。
「接点力」は、カスタマーコミュニケーションに関する情報を管理するとともにそれらに関する作業管理の進捗状況のマネジメントができる。CRMとしての機能がメインの機能といえるが、顧客を管理する上での多くの工夫がなされている。「使いやすさ」とは、顧客によっても求める内容が異なるが、ここで紹介する内容は他のビジネスシーンにおいても共通しているのではないだろうか。
・複数の処理を1つのウィンドウで表示
4Dは2つ以上ウィンドウを同時に表示させいくつもの処理を行うことができることが利点である。しかしながらユーザによっては、または、ディスプレイのスペックによっては、複数のウィンドウを同時に開かないほうがむしろ使いやすい場合もある。いくつもの処理を同時に行なう場合、OSによる違いもあるが、複数のアプリケーションを起動する場合には多くの場合アプリケーションごとにウィンドウが開き、処理によってウィンドウを切り替えて利用する。ビジネスの現場においては、いくつもの処理を同時に行う必要があることがほとんどであろう。
「接点力」では、基本的には、ひとつの処理を1ウィンドウのみで表示させ、他の処理を行う時には、各ウィンドウからアクセスすることができるが、表示されるウィンドウは基本的にはひとつなので、見かけ上、ひとつのウィンドウの中身が切り替わっているかのように見える(実際にはウィンドウ全体を切り替える処理を行っている)。例えば、日報入力などの処理を行いつつ裏側では集計処理を行わせておくことができ、顧客からの電話があった時には瞬時に顧客情報画面に切り替えることができる。ディスプレイ全体にひとつのウィンドウが表示されそれが切り替わるだけなので、操作をするユーザにとっては、ウィンドウ自体を左右上下に移動したり隠したりする操作を行う必要がなく、使いやすさを向上させている。
また、あるウィンドウから特定の処理のために、そのための別ウィンドウを新しく開くことはほとんどない。そのウィンドウの一部分の表示内容が処理に応じて変化させている。例えば、顧客情報管理ウィンドウ内のある特定の顧客に対して、いくつもの異なる処理を行う必要がある。例えば、さらに細かい情報を入力したり、製品販売FAQ情報を確認する場合や、クレーム処理に関する情報を確認するなど場合である。
「接点力」では、この場合に、ウィンドウの上半分に顧客情報が表示されるが、下半分のエリアには選択したデータ内容によって異なるインタフェースが表示される。このことによって余計なウィンドウを開いたり、画面を移動したりする必要はほとんどなく、同様の仕組みがあらゆる部分に組み込まれている。
・検索用インタフェース
エンドユーザにとっては、Web検索サイトのようなシンプルな方法での検索方法が一般化しているといえよう。「接点力」の独自フォームでは、検索ワードをスペースでつなげることで、「かつ」検索を可能にしている。4Dには標準で検索用のクエリエディタが用意されているが、限られた検索条件を行うユーザの使い勝手をよくするために意図的に利用していない。もちろん、特定の項目を検索するためのカスタマイズされた検索画面も別に用意されている。
・他のアプリケーションでつくられたファイルの管理
業務を行う上では、利用するアプリケーションの種類は少ない方が運用も管理もしやすい。
しかしながら、カスタマーとコミュニケーションを行う上で顧客から用意されるファイルの種類は、ワードプロセッサで作られたファイルもあれば、表計算ソフトでつくられたファイル、PDFファイルなど多岐にわたってしまう。「接点力」ではこのような他のアプリケーションでつくられたドキュメントを管理するための機能も用意されている。4Dは、BLOB(Binary Large Object)を格納できる。このことにより、ファイルの種類を問わず、各ファイルをBLOBとして保管することができる。そして、それらのファイルを検索し、ダブルクリックすることで各書類を開くためのアプリケーションを起動することも可能である。
・情報の双方向関連付け
地域に密着した営業活動を行なっているため、カスタマーAとカスタマーBが親戚であるといったような情報を入力する必要がある。「接点力」では、データの関連付けを非常に簡単な操作で行うことができる。このことにより2度のデータ入力や入力漏れを防ぐことができる。
・高速化させた全文検索
検索を行う場合には、4Dのテキストフィールドやプラグインである4D Writeを利用したりすることができるが、独自のノウハウを利用したプログラムを行うことで全文検索を高速に処理している。これは、入力されたデータを再度文字フィールドに自動的に再入力する仕組みをプログラミングし実現している。データ処理件数も膨大な量ではないこともあるが、プログラミングを行なうことだけで全文検索機能を十分に機能させることができるという。
「接点力」の開発を行なった株式会社アイゲート(東京都中央区)の青木明彦氏は語る。
「Webサービスを利用したリッチクライアントのシステムとして構築するプランもあったのですが、今回は、スタンドアロンそしてクライアントサーバの標準的な機能をベースにしたプログラムにすこし工夫を加えるだけで、エンドユーザの要望する機能を実現することができました」
上記で紹介した様々な工夫は、すこしのアイディアとすこしのプログラミングで実現している。プログラミングによってユーザにとって使いやすいシステム開発ができることは一般的には開発環境に共通している。4Dを利用することでのシステム開発の利点は、現場レベルで活用するために小回りの利くアプリケーションを効率よく開発できることである。
また、4Dは多くのコマンドを備えた強力な開発環境でもあり、かつ、RDBMSでもあるため、プログラミング次第で、開発者のアイディアを実現することが容易である製品であるといえよう。
ビジネスを強化するのはアイディアであり、4Dはそれを生かすために役立つツールなのである。