全国肉牛事業共同組合が2002年9月より運用を行っている「牛肉パスポート検索システム」は、牛海綿状脳症(略称BSE)対策のひとつとして消費者に肉牛の情報の公開を行っている。消費者は店舗で購入した牛肉パッケージに貼り付けられた「牛肉パスポート/ラベル」に記載された固体番号を、指定されたWebブラウザ上の検索ページに入力することで、誕生日、牧場名、牛肉処理場などの情報を得ることが可能である。このことは、消費者が安心して購入できることに役立っている。
このシステムでは、サーバに2台のXserve(アップルコンピュータ)を利用している。牧場から送られる情報の受信および保存用の通称"WebServer"および牧場のWebサイト公開および個体情報の検索のための通称"WebBack"である。この2台のサーバには4D Serverが利用されているが、2台のサーバ間の情報は4D Server用のAPIである4D Openを利用して一定タイミングで自動的に送信が行われる。このシステムの開発元である株式会社マーベルコンピュータ代表取締役の吉田正則氏は次のように語る。「導入当時、ハードウェアもソフトウェアもまだリリースされてからあまり日数が経っていない最新のハードウェアと最新のソフトウェアでのシステム構築を試みました。UNIXベースであるMac OS Xの安定性も魅力的でした。このシステムは導入以来安定して運用されており、再起動を行ったのは、ソフトウェアアップデートを行った時のみであり、ほとんどトラブルはありません」
各牧場側で利用されるHTTPクライアントマシンには、4Dで作成されたアプリケーションが利用されている。このことにより、4Dのビルトイン機能であるラベル印刷、レポート出力を利用できるだけではなく、他の業務アプリケーションとのデータ連携を行うことが可能であるとともに、インタフェースもカスタマイズされたより使いやすい画面を利用することが可能になっている。このことはつまり、一般的なWebブラウザを利用することでは実現できない機能を、4Dのアプリケーションで実現することで、ユーザにより使いやすい環境を提供しているといえる。このアプリケーションには4Dの配付環境である4D Engineが利用されている。また、4D製品はマルチプラットフォームであるため、クライアントで利用されているマシンにはWindowsとMacintoshを区別することなく利用できる。4Dアプリケーションの配付には目的に応じていくつかの製品が用意されているが、この使い方はその製品のひとつである4D Engineをうまく活用しているケースである。
上記のようにこのシステムでは、Webサーバ、クライアントマシンを含め全体で4Dが利用されているが、4Dによるシステム構築のメリットは利用者のみならず、開発者にも大きく影響している。同様なシステムは一般的なWebサーバや、CGI、Javaなどのさまざまな製品やテクノロジーを組み合わせて作り上げることは可能であるが、4Dの統合開発環境としてのメリットを生かすことで、システム自体を4D製品で統一することでシンプルにすることができるとともに、非常に短期間での開発が可能となり。開発コストの削減にもつながる。さらにまた、将来的なバージョンアップを考えた場合にも対応しやすいソリューションを作り上げることが可能である。
「実際に、システム開発の期間は4ヶ月間でした。4D Serverと4Dのシングルアプリケーションの固定された関係と4DのWeb機能をうまく活用することができました。他社製品やApacheなどの組み合わせも検討しましたが、メンテナンスに関して負担が大きくなります。このシステムでは特にサーバ側での開発・運用上でのメリットが大きいです」(吉田氏)
また、複数の製品、テクノロジー、言語の組み合わせでは、それぞれのライブラリに依存する必要がある理由などから、ひとつのソリューション内でのそれぞれのバージョンをコントロールすることが容易であるとはいえないが、4Dの場合には非常にシンプルに管理を行うことが可能である。
「4Dはストラクチャファイルですべてソースを管理することができるので、メンテナンス時にはそこを確認すれば、ほとんどのことは把握できますが、他の製品では同じようなことはできません。ほとんどの場合、Mac OS Xのバージョンと4D のバージョンのみに注意していればよいだけです」(吉田氏)